夜がまた始まる(フジファブリックツアー 武者巡業2007 inなんばHatch)

牙を見せたモノノケが、ついに蠢きだした。牙を、爪を、総動員で用いて戦を仕掛けてくる。どうしよう。ただもうその振動に、巻き込まれて揺さぶられる。
今までジリジリと動いてきた針が一気に振り切った様に、志村炸裂志村爆発。一番説明しやすい形としてワンマンでのハンドマイクデビュー(GOFORTHESUNとかワカ天とか、イベントでは過去あった)など、パフォーマンスのバリエーション増加に驚愕。でも単純にバリエーションの増加が問題なんじゃなくて、その行動の発露としての衝動であり意思。伝えようという意思と、伝えたいという衝動。向かってくるよ。喰いかかってくるよ。どうしよう、どうしよう。そんでもひとつ大事なのは、ついにここまで至ったその変化に想いが湧くけど、何より目の前で伝えられる振動に奮えて止まないということ。過去への評価と愛着はもちろんあるんだけど、それだけじゃ失礼だしつまんない。
昨日の想い抱えたまま、逃げ込んだ深夜の世界。思いがけず繋がった朝の世界から、また迎えた決別の夕暮れ。繰り返しのようで違う景色に、抱くのは新たな想い。重なる想いが示す、星が降る夜に飛びこめ。夜も朝も駆け抜けて、どこまで行くかいモノノケよ。私のモノノケ、私たちのモノノケ。この獣を描きたいの。
武者巡業の名の通り、これは戦いの旅だよ。これまで磨いてきたもの、フル出力で挑んでくる。そんでもってこの旅で更に磨かれてくその牙を爪を存在を、最後の地でもう一戦交えて魅せつけてよ。首洗って待ってるぜ!
・披露新曲は「B.O.I.P」「星降る夜に」「TEENAGER」。久々過去曲は「夜汽車」「環状七号線」。ユニコーントリビュート参加の「開店休業」も。
・夏からのアレンジの流れがますます強化された地平線、虹、唇。震えるーーー。地平線は出航を控えた目の前の波の荒々しさなイメージだったけども、ついに漕ぎ出した像をうけた。
・志村がグラサン、総くんが韓流的マフラー、ダイちゃんが水玉蝶ネクタイと見かけの小道具から攻め攻め。とりあえず怪訝な顔をしてしまうではないか。
・フロントマンとしての覚悟(ソングライターとしてとかとはまた別として)が志村ん中で固まったからなのか、今までの一方的且つ無計画なメンバーいじりからメンバーを生かすためのいじりへと変化が伺える一幕も。何キャラ意識なのかは判んねぇ口調だけども「あんたーもっと早く弾けるでしょ」って総くん挑発したり、「(見かけに対して)男まさりな鍵盤弾く奴なんすよ」とダイちゃん煽ったり。(ただしダイちゃんは冷静に「男だからね。まさりじゃない」と反論。もっともだ。)そこはバリエーションの変化にも関係すっと思うんすが、今までってどっか総くんまかせ・ダイちゃんまかせなトコがあったと思うんすよね。そこをオレがまず攻めて、そんでお前らも来いって前へ前へひっぱってく気合を感じた。
・MCもずいぶんとこっち(リスナー、客)見た発言するようになってね。パフォーマンスの奇抜さも含めて(自覚して踏み込んだってトコがまたクる)「今夜のライブ思い出して少しでも笑ってくれたららそれで嬉しい」とか、ばかやろー見えてないのかこんなにもその音の快に笑顔なってんじゃん!という反論が起こりつつも、見えてるから見えたから出せる言葉なんだろうと思う。「かっこいいこと言えないような達」だと自分達のことを称してたけど、そんな人らの闘い方が最高にかっこいいんだよ。
・悩みながらでも歩いた方が得なんじゃないかって思って作ったのが若者のすべてだと紹介してたんすが、“得”って言い回しのやらしさが志村らしいなと思ってしまった。