under the sky,in the wind,on the field(MrChildern “HOME”TOUR2007 〜in the field〜)

天王子のタコ焼き

朝からの小雨はなんとか止むも、空を覆う厚い雲。太陽は隠れて肌寒い。灰色の景色にため息がもれるけど、空気を震わす振動に彩が灯る。風が起こる、想いが届く。このひびきがヒカリになる。このひびきにヒカリを魅る。
気易く奴らをモンスター呼ばわりしてたことを後悔しました。半端ねぇ。なんだよあの音のエネルギー。音情ってより音塊。前半はHOMEらしい曲ってんで懐かしい曲を総動員幸福アレンジで鳴らして(それもそれで歌の持ってたシリアスさと音の幸福感のズレが生むゆらぎにあてられるんだけど)、そっから「ひびき」、「もっと」、「HERO」とそこからどんどん出力の仕方が変わってくんのよ。音として放出してるはずなのに、ステージ上に音の塊として気配が留まって集まって高まってく。名古屋ん時に感じた恐怖心がなんだったのかがよく分かった。このエネルギーが溜まってく様が恐かったんだ。「CENTER OF UNIVERSE」、「Dance Dance Dance」と、うごめいて沈殿するものが歌を介して増殖して、「フェイク」の叫びに集約爆発する。
恐い、怖すぎる。足元からじわじわと、何かわからない気配が侵してくる。この叫びの、この欲望の先にどんな音塊がおしよせるのか、判らなくて身がすくむ。なのにそれが「ANY」で一気に離散する。さっきまで一箇所に蓄積されてたエネルギーが循環しだす。「その全ては真実」という叫びで、呪文のように空気が変わる。あのテンションの切り替え、本人ら的には違和感ないんだろうか。くっそー、くっそー、特に今日は「HERO」ん時から音鋭すぎ!早々に音纏いだした桜井和寿の気配にもあてられたし。「ANY」まで耐えれば後は循環するエネルギーを感じてればいいだけで気持ちいいんだけども、このスタジアムツアー中盤までがしんどすぎる。どこまでが計算なんすか武史さん?

アリーナツアーからもあわせれば、約半年間かけた“HOME”ツアーも終わり。長い旅の終わりに、この夜の終わりに、紡いでくれたのは祝福のうた。さよならのうたで、始まりのうた。そんな「旅立ちの唄」と再会して思ったのは、わざわざ「口笛」なんかの既存のラブソングに託さなくたっていいように、“私たち”と“あなたたち”のラブソング作ったんじゃんということ。もう、作ってくれてんじゃん。
いつかまた、今度はこの唄を一緒にうたう時がくるかもな。それまでは耳に残るこのひびきにあわせ、口ずさんでいよう。まぶたの裏にはヒカリの残像。目には見えない、でも消えない、想いの形。光の隠れた暗闇の中でも、彩のおちた灰色の景色の中でも、そのひびきが届けばヒカリがさす。雲の向こうの空を知る、空に輝く星を知る。このひびきに魅たヒカリ。忘れぬように、刻んでおこう。

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イノセントワールドは完全におっさんが歌いだしちゃってるんだけども、某スターばりに唐突にオーディエンスに歌わせてもきて。そんで、そん時におっさん自身は下ハモとかしちゃっててさ。“歌いあうこと”を、声を重ねることを心底楽しんでやがんの。いい加減しつこいけど、そういうトコを全然信用してなかったていうか出来ないでいたから、サービスでもポーズでもないその姿につかまんのよ。