アバンギャルドでロックンロール

涙のふるさと

涙のふるさと

買ってたんですけどね、漸く音源として封印解除。
2年前の講義ノートの隅に「バンプ藤と異化作用」というメモを発見したんですが、マルクス読み返した今は いい勘してんじゃん当時の私! と思う次第です。感情移入が芸術表現の肝ですけども、入り込みすぎても結局戻ってこれないだけ。寄添うウタが突き放してくる瞬間が必ずある。距離が近ければ近いほど、強く突き放す反作用の地雷。バンプのウタは優しくなんかないと思う。優しくないんだけど、優しくないのが優しいし、突き放し方も結局優しいんだよ。そういう無限ループ。
「涙のふるさと」はファーストコンタクトの感触に確信持つ形の再会でしたが、「真っ赤な空を見ただろうか」がなー。行き過ぎた感情移入の弊害ってのをくらってただけに憎む方向にいきかけてたのを、自覚→緩和させられた。“そう思う事”ってのは、よいとか悪いとかじゃないんだよな。そういうトコロを掬ってくるフラットさが、ひっかいてくる。

藤もどんどん言葉がシンプルになっていく。もう物語に包む必要がなくなったんだろうなと、思ったのがスーパーノヴァの時。物語ってオブラートひっぺがして伝えてくるようになったから、その分鋭利さもぐっと増したんですけども。だからの鹿野さんの通達だったのかと、1年前かんなりモヤモヤさせられましたものでした。ある程度の納得はしたけど、今もまだ言いきれないや。まだ言い切れなくてもいいんだと、1年経って漸く思えてます。

バンプに関しては思考の無限ループに陥りがちなんですが、その合間に脳をリフレッシュさせてくれるあの曲の素晴らしさ。ビバ・歴代最高の無駄使い。あんたらすごいロックしてるよ。そういう訳でシングル総合評として、「アバンギャルドでロックンロール」。とんがってら。