「頬をなでてく箒星」

箒星 (初回限定盤)(DVD付)

箒星 (初回限定盤)(DVD付)

チルニューシングル「箒星」、発売です。自分の感じてたものとブレなく、けれども驚きも共に新作届きました。

久しぶりとかおかえりなさいとか、そんな感慨すら浮かばない程に「ミスチル」がそこにいました。シングルとしては1年ぶりですが、去年出た「四次元」の4曲目「ヨーイドン」から何の違和感もなく鳴るカンジ。間の時間を吹っ飛ばすほどに、自然に「今」へと繋がる。5月21日にCMに遭遇してそれ以来各種先行視聴我慢して今日の発売待ってたんですが、その時感じた「大人に向けたヨーイドン」って感触に確信持てました。

ブランコから見上げた夜空に、自分だけの光を見つける(=選ぶ)。見つけた瞬間から否応無く「世界」に放り出される。(見つけなくてもある程度の時期が来たら放り出されるっていうのが現代の葛藤の一つにありますが、そこはちょっと省略)
焦がれて求める、衝動と欲望って行動の原動力(動機付)はその光に触発されて起こる。その光は自分ひとりだけの世界では見つけられなくて、他者(君)の中からしか見つけられない。だけど他者である限り、その光に完全に近づくことはありえない。それと同時に誰かが自分の光であるように、また誰かにとって自分も光になりうる。そんな絶望と希望を抱く「人」が、同じ可能性を抱える「人」に向けて歌った唄。

そう書くと簡単になっちゃいますけど、なんて軽やかなんだろ。サウンド面もなんですけど、サクの愛しそうな楽しそうな声。「大風呂敷で未来を盗む」とか「ストレッチ」のユーモアさや、「から、かなぁ?」の遊び方とかそこかしこに余裕あんだよなー。
カップリング2曲とで計3曲入りですが、3曲ともボーカルの印象違うもので。声の使い分けがいちシングル内でこんなにハッキリしてんのって珍しいんじゃ?と想ってますが、リアルタイムシングル遭遇が「sign」「四次元」に続いて3つめという事実の前にまだハッキリと確信持てず。仮説段階。

そのカップリング曲は「my sweet heart」の初期を思わせる、無責任且つ身勝手な男の妄想っぷりが爆笑。歳喰った分がっついてないおっさんエロスで性質の悪さが増してて、殴りたいカンジにゾワゾワします。アイスクリームとかさぁ!(抱腹絶倒。あとあくまで「恋」だってのがおっさん判っててヤだなー。対幻想にはなんなくていいのね。対幻想を通じて自己を獲得はさせてくんないんですね。この曲が「箒星」のカップリングだってのがすごい愉快。

絶望を通過しないと始まらなくて、絶望から動くには希望がいる。その繰り返し。「sign」で(“ミスチル”って装置を通じて作られた誰かの神様って位置から)オりて、「未来」で(どこかにあると想ってる神様なんて希望なんてないんだと)突き放して、「andI〜」で(“どこか”なんてないから、目の前の君に)のばした手を、「箒星」で確実に握り締めたなという印象。
「共生」のモチーフはある程度行き着いたと思うんですけど、これからどうくんだろうなー。まずはこの新曲らを生で聴くのが楽しみでしょうがありません。