種は真理、仕掛けはミュージック

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会いたかった、でもない。待ってた、でもない。ただこの声とこの音。ただこの声とこの音なの。

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モンスターの叫びに目を開けば、現れたのは“人”。種は真理、仕掛けはミュージック。真理に抗い希望を紡ぐ、マジックショー。1,2,3で1枚幕を取る度、世界に色が増えていく。
青 黄色 紫 緑 ピンク 白に黒
だんだんと鮮明になってくる像が、でも途端にゆらぎだす。〜色っていっても幅があるように、青だって一言で捉えてた色が濃度を変える“彩”として波だつ。
一瞬だけ定まる視界。でもすぐまた別の像へと彩りをうつす。あれだけをずっと見てたいのにって願うのに、固定することは出来ない。好ましいものだけじゃなくて、ぐっちゃぐっちゃで見てらんないものもある。だけどもうつろう彩りの、変化そのものに心奪われる。
この幕に映されたのは神様の理想じゃなくて、滑稽で格好悪くて醜いけど同時にとても美しい、“人”っていうあるモンスターが抱いた彩り。「こうありたいのに」とか「そうだといいな」って、後悔や願いが彩を作って映してく。誰かの、じゃなくて自分自身の記憶と本能が持つもの。だけども同時にやっぱ、誰もが持ってるものものでもある。
気付けば幕はなくなってて、見慣れた景色が続いてく。でもその中からずっと見てたいと願った、あの彩りが隠れてたのを見つけてく。まったく同じものは見つけられなくてガッカリするかもしれないけど、でも近い濃度や手触りに出逢えてはほころんでいく。

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軽やかなのに生々しい。後悔や願いを生むのは欲望で。んで私は生と欲望は切り離せないと思ってます。言葉やメロディは軽やかで優しいのに、音そのものが持つエネルギーが生々しい。「やわらかい風」から「フェイク」への流れとかやっらしーの!「ポケットカスタネット」の展開とかねー、わりと前半はキッパリ伝えてくんのに後半でそれ揺るがしてくんの。共生のモチーフ集約的な流れからその先への気配にと結構とっちらかってる印象ですが、でもどれも一貫してROCKでPOPなんね。毎回こう思ってばっかですけどさ、なんつーもん作んのよ。
この声とこの音。3年前の春にこの声とあの眼に掴まった。んで2年前の夏にこの音に殺された。そっから選んだものが今の私を動かしてる。この声と、この音なの。

大げさなものは何一つない。人っていうモンスターの息遣い。確かに知ってるんだけど、どれとも同じではない今最新の彩。そのうつろいに囚われる。またこうして、掴まった。