まぶたの裏にいる君は


いつだって笑顔だけ。

「ロックにすべてを捧げた」ってのが決して大げさな比喩ではないあの生き方は、伝わるよりもずっともっと苦しいものであったんだなとインタビューとか読み返してて思う。それでも私が知ってる志村は、真っ先に浮かぶのは、少しだけ誇らしげに静かに微笑む姿。

音楽の中では、ライブって場所にはあいつの孤独が満たされる瞬間があったと思いたい。決して持続しなくて、すぐに消えてしまうものだとしても、「幸せ」だと思う瞬間があったと信じたい。本当に少しずつ、だけど確実に濃さを増していったあの輝きはその証だろ?
めいいっぱい愛して会いに行った。最後になったライブにも立ちあえた。そこで「ずっと会いたい」と願ってた音像に会えた。その音で、その牙で喰い殺されるような深淵を、そして夜を拓く光の道さえも。世界を自由自在に描く、絶対無敵の万能感。私の人生で最も幸福な時間。

残念なことに悔いはない。めいいっぱい愛した。わざわざ言葉にしなくとも、音の洪水に全力で応えることで伝えてきた。必死さの合間に小さな笑みがこぼれることが増えてった。真っ先に浮かぶのは、その笑顔。